犬の目が赤い・充血 — 結膜炎?緑内障?原因と受診目安
この記事は獣医師の監修を受けています
犬の白目が赤くなっている、目の周りが腫れている — そんな変化に気づいたとき、「自然に治るかな?」と様子を見てよいのか迷うことがあります。犬の目の充血は、軽いアレルギーから失明につながる緊急疾患まで原因がさまざまです。特に緑内障は発症から24〜48時間以内に治療しなければ視力を失う可能性があります。この記事では、犬の目が赤い原因と、受診すべきタイミングを解説します。
犬の目が赤くなる主な原因
結膜炎(けつまくえん)— 最も多い原因
結膜(目の表面と まぶたの裏側を覆う薄い粘膜)に炎症が起きた状態です。犬の目の充血原因として最も頻度が高い疾患です。
原因:
- アレルギー(花粉、ハウスダスト、食物)
- 細菌感染
- ウイルス感染(犬ジステンパーなど)
- 異物(草の種、ほこり、毛)
- シャンプーや化学物質の刺激
- ドライアイ(涙の分泌不足)に伴う二次的な結膜炎
特徴的な症状:
- 白目全体がピンク〜赤色に充血
- 目やにの増加(透明〜黄緑色)
- まぶたの腫れ
- 目をしょぼしょぼさせる
角膜潰瘍(かくまくかいよう)— 目の表面の傷
角膜(目の表面の透明な膜)に傷がついた状態です。草や枝で引っかいた、他の犬とじゃれていて爪が当たった、逆さまつげが当たり続けたなどで発生します。
特徴的な症状:
- 片目を強くしょぼしょぼさせる(痛みが強い)
- 涙が多量に出る
- 目の表面がくもって見えることがある
- 光を嫌がる
角膜潰瘍は放置すると穿孔(せんこう:穴が開くこと)に至る可能性があります。片目をしょぼしょぼさせている場合は24時間以内に受診してください。
緑内障(りょくないしょう)— 最も緊急性が高い
眼圧(目の中の液体の圧力)が異常に上昇し、視神経を傷つける病気です。犬の緑内障は急性発症することが多く、発症から24〜48時間で不可逆的な視力障害(元に戻らない視力の低下)が起こり得ます。
特徴的な症状:
- 白目が真っ赤に充血(結膜炎よりも強い充血)
- 目が大きく見える(眼球が腫れている)
- 瞳孔が大きく開いたまま(散瞳:さんどう)
- 強い痛みでぐったりする、食欲廃絶
- 目を触られるのを嫌がる
- 角膜(目の表面)が青白く濁る
好発犬種: シバ犬、コッカースパニエル、ビーグル、バセットハウンド、チワワ
ぶどう膜炎(ぶどうまくえん)
ぶどう膜(虹彩・毛様体・脈絡膜からなる目の中の組織)に炎症が起きた状態です。感染症、自己免疫疾患、腫瘍などさまざまな原因で発生します。
特徴的な症状:
- 充血とともに目が「どんより」して見える
- 瞳孔が小さくなる(縮瞳:しゅくどう)
- 涙が増える
- 光を嫌がる
その他の原因
- ドライアイ(乾性角結膜炎) — 涙の量が減って目の表面が乾燥し、慢性的な充血を起こす
- 眼瞼炎(がんけんえん) — まぶたの炎症
- チェリーアイ — 第三眼瞼(瞬膜)の腺が飛び出す。目頭に赤い丸い塊が見える
- 高血圧 — 全身の高血圧で目の血管が充血する。腎臓病や心臓病に伴うことが多い
片目だけ赤い場合と両目が赤い場合
片目だけ赤い — 局所的な原因が多い
- 異物が入った
- 角膜に傷がついた
- 片側の緑内障
- チェリーアイ
片目の充血は局所的な病変(その目だけの問題)を示唆します。特に片目をしょぼしょぼさせている場合は角膜潰瘍の可能性が高いです。
両目が赤い — 全身性の原因の可能性
- アレルギー
- ウイルス感染
- ドライアイ
- 全身性の疾患(自己免疫疾患、高血圧)
今すぐ病院に行くべきサイン
以下のいずれかに当てはまる場合は、緊急受診(夜間救急を含む)してください。
- 目が腫れて大きく見える(緑内障の疑い)
- 角膜(目の表面)が青白く濁っている
- 瞳孔の大きさが左右で違う
- 強い痛みで目を開けられない
- 目の表面に傷や穴のようなものが見える
- ぐったりして食欲がない
- 目から出血している
- 化学物質(洗剤、殺虫剤など)が目に入った
以下の場合は当日〜翌日の受診を推奨します。
- 片目をしょぼしょぼさせている(角膜潰瘍の疑い)
- 黄色〜緑色の目やにが2日以上続いている
- 充血が3日以上改善しない
- 目頭に赤い塊がある(チェリーアイの疑い)
様子見してよい場合
以下の条件をすべて満たす場合、2〜3日の自宅観察が可能です。
- 充血が軽度(うっすらピンク程度)で、白目全体ではない
- 目を気にする様子(こする、しょぼしょぼする)がない
- 目やには透明〜白っぽく少量
- 角膜が透明で濁りがない
- 食欲・元気が通常通り
- 瞳孔の大きさが左右同じ
- シャンプーや風など、一時的な刺激のきっかけが明確
3日以上改善しない場合、または悪化した場合は受診してください。
自宅でできるケア
- 生理食塩水での洗眼 — 目に異物やほこりが入った可能性がある場合、ペット用の洗眼液または市販の生理食塩水(0.9%食塩水)で目をやさしく洗い流します。人間用の目薬や水道水は避けてください。
- 目やにの清拭 — ぬるま湯で湿らせた清潔なガーゼで、目やにをやさしく拭き取ります。
- こすらせない — 犬が目をこすり続ける場合はエリザベスカラーを装着します。こすることで角膜潰瘍が悪化する危険があります。
- 刺激物の排除 — シャンプー、芳香剤、スプレー式の消臭剤など、目を刺激する可能性のあるものを確認し排除します。
- 散歩時の注意 — 草むらや風の強い日の散歩は一時的に控え、目への刺激を減らします。
緑内障の早期発見のために
犬の緑内障は好発犬種(シバ犬、コッカースパニエルなど)では定期検診が特に重要です。
- 年1回の眼科検診で眼圧測定を受ける(7歳以上は年2回推奨)
- 片目が緑内障と診断された場合、もう片方の目も50%以上の確率で発症するため、予防的な点眼治療が検討されます
- 充血・目の腫れ・瞳孔の異常に気づいたら時間単位の緊急度と認識してください
病院に行くときの準備
- 目の写真(充血の程度、瞳孔の大きさ、目やにの色がわかるもの。左右両方を撮影)
- 症状の経過(いつから赤い、悪化しているか、片目か両目か)
- きっかけの有無(シャンプー、散歩後、他の犬との接触など)
- 目を気にする行動(こする、しょぼしょぼする、光を嫌がる)
- 既往歴(アレルギー、ドライアイ、過去の目の病気)
- エリザベスカラー(持っていれば持参。病院で貸し出しもあります)
目の病気は早期治療が視力を守る鍵です。「おかしいな」と思ったら早めの受診をおすすめします。
この記事の情報は一般的な参考情報です。個別の症状については必ず獣医師にご相談ください。