犬の結膜炎 — 症状・原因・治療法と家庭でのケア

犬の結膜炎 — 目の赤み・腫れの原因と治療法

この記事は獣医師の監修を受けています

愛犬の白目が赤くなっている、目の周りが腫れてショボショボしている——こうした変化に気づくと不安になるものです。犬の目の赤みの原因としてもっとも多いのが結膜炎(けつまくえん)です。結膜とは、まぶたの裏側と白目の表面を覆う薄い粘膜のことで、ここに炎症が起きた状態を結膜炎と呼びます。軽度であれば数日で治まることもありますが、放置すると角膜(目の表面の透明な膜)にまでダメージが及ぶケースがあります。この記事では原因・受診の目安・自宅でできるケアを詳しく解説します。


犬が結膜炎になる主な原因

1. 細菌・ウイルス感染

もっとも一般的な原因です。ブドウ球菌や連鎖球菌などの細菌、あるいは犬アデノウイルスなどのウイルスが結膜に感染して炎症を引き起こします。黄色〜黄緑色のドロッとした目やにが出る場合は細菌感染の可能性が高く、透明〜白っぽい目やにはウイルス性を疑います。片目から始まり数日後にもう片方にも広がるパターンが典型的です。

2. アレルギー(花粉・ハウスダスト・食物)

花粉やハウスダスト、特定の食物に対するアレルギー反応として結膜炎が起きることがあります。特徴は両目同時に赤くなること、涙の量が増えること、目の周りを前足で掻く仕草が見られることです。春先や季節の変わり目に繰り返す場合はアレルギー性が疑われます。皮膚のかゆみ(体を掻く・舐める)を伴う場合はさらに可能性が高まります。

3. 物理的な刺激・異物

散歩中に草の種や砂が目に入る、シャンプーが目に入る、逆さまつげ(まつげが眼球側に向かって生える状態)で常に目の表面が刺激されるなど、物理的な原因でも結膜炎は起こります。片目だけが赤い場合は異物や逆さまつげの可能性を考えます。短頭種(パグ・フレンチブルドッグなど)は眼球が大きく露出しているため、物理的刺激を受けやすい傾向があります。


今すぐ病院に行くべきサイン

以下のいずれかに当てはまる場合は早めに動物病院を受診してください。

  • 目やにの色が黄色〜黄緑で量が多い(膿性の目やに)
  • 目を完全に開けられない、または閉じたままにしている
  • 白目だけでなく黒目(角膜)が白く濁っている
  • 目の周りの腫れが明らかにひどい
  • 3日以上改善の兆しがない
  • 涙や目やにに血液が混じっている
  • 食欲低下や元気消失を伴っている
  • 視力に影響が出ている様子がある(物にぶつかる・段差を怖がる)

角膜に傷がつく「角膜潰瘍(かくまくかいよう)」に進行すると、最悪の場合は視力を失うリスクがあります。目を閉じたまま開けない状態は痛みが強いサインなので、半日以内の受診を目指しましょう。


様子見してよい場合

以下のすべてを満たしているときは、1〜2日の自宅観察が可能です。

  • 目の赤みが軽度で、白目がうっすらピンク程度
  • 目やにが透明〜白色で少量
  • 目はしっかり開いており、ショボつきがない
  • 食欲・元気は普段通り
  • 目を掻く・こする仕草がほとんどない

ただし、2日経っても改善しない、または悪化する場合は受診してください。


自宅でできるケア

目の周りを清潔に保つ

ぬるま湯で湿らせた清潔なガーゼやコットンで、目やにをやさしく拭き取ります。目頭から目尻に向かって一方向に拭くのがポイントです。1回拭くごとにガーゼの面を変え、反対の目には新しいガーゼを使いましょう。1日2〜3回を目安に行います。

目をこすらせない工夫

前足で目をこすると症状が悪化します。エリザベスカラー(首に巻く円錐状の保護具)の装着が効果的です。カラーがない場合は、こすっていないか注意深く観察し、こする仕草が見られたらやさしく手を抑えてあげてください。

人間用の目薬を使わない

人間用の目薬には犬に有害な成分が含まれていることがあります。獣医師の処方なしに点眼薬を使用するのは避けてください。


病院に行くときの準備

  • 目やにの状態を記録: スマホで目の写真を撮っておく(赤みの程度や目やにの色が伝わりやすい)
  • 発症時期と経過: いつから症状が出たか、悪化しているか改善しているかをメモ
  • 左右どちらか: 片目だけか両目かを確認
  • 環境の変化: 新しいシャンプー・フード・散歩コースの変更など
  • 既往歴: アレルギーの有無、過去に同様の症状があったかを伝える

動物病院では、フルオレセイン染色(角膜に傷がないか確認する検査)やシルマー涙液試験(涙の分泌量を測る検査)が行われることがあります。検査自体は痛みがほとんどなく、数分で終わります。治療は原因に応じて抗菌点眼薬・抗炎症点眼薬・アレルギー用の内服薬などが処方されます。治療期間は軽度であれば1〜2週間、慢性化している場合は数週間〜数か月かかることもあります。


この記事の情報は一般的な参考情報です。個別の症状については必ず獣医師にご相談ください。

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この記事は一般的な獣医学知識に基づく情報提供を目的としており、獣医師の診察に代わるものではありません。 個々の状態は異なるため、少しでも不安がある場合は動物病院を受診してください。