犬が玉ねぎ・ネギを食べた — 中毒症状と応急処置・受診の目安
この記事は獣医師の監修を受けています
犬が玉ねぎやネギ類を食べてしまった場合、すぐに症状が出ないからと安心してはいけません。ネギ中毒の怖さは症状が1〜5日後に遅れて現れることです。気づいたときには重度の貧血が進行していることがあります。玉ねぎ・長ネギ・ニラ・ニンニク・エシャロットなど、ネギ属(Allium属)の植物はすべて犬に有毒です。
なぜ玉ねぎ・ネギは犬に危険なのか
ネギ類に含まれる有機チオ硫酸化合物(アリルプロピルジスルフィドなど)が犬の赤血球内のヘモグロビン(酸素を運ぶタンパク質)を酸化させ、ハインツ小体と呼ばれる異常構造を形成します。ハインツ小体ができた赤血球は脾臓で破壊され、溶血性貧血(赤血球が壊れて起こる貧血)を引き起こします。
中毒を起こす量の目安
- 中毒量: 体重1kgあたり15〜30g以上の玉ねぎ摂取で中毒リスク
- 体重5kgの小型犬: 玉ねぎ約75g(中サイズ玉ねぎの約3分の1個)
- 体重10kgの中型犬: 玉ねぎ約150g(中サイズ玉ねぎ約1個弱)
- 体重25kgの大型犬: 玉ねぎ約375g(中サイズ玉ねぎ約2個)
重要: 加熱しても毒性は消えません。ハンバーグ、すき焼きの煮汁、オニオンスープ、カレーなどの調理済み料理でも中毒は起こります。また、乾燥玉ねぎ(オニオンパウダー)は生の玉ねぎより約5倍の濃縮度があり、少量でも危険です。
ネギ中毒の症状と時間経過
摂取直後〜数時間
- 嘔吐、下痢
- 食欲低下
- 腹痛(お腹を丸めてうずくまる)
1〜5日後(溶血性貧血の進行)
- 元気がなくなる、ぐったりする
- 歯茎・舌の色が白っぽくなる(貧血の兆候)
- 呼吸が速くなる、息切れする
- 尿がオレンジ〜赤褐色になる(ヘモグロビン尿)
- 心拍数が上がる
- 黄疸(白目や歯茎が黄色くなる)
重症の場合
- 起き上がれない
- 意識が朦朧とする
- 腎不全を併発する
今すぐ病院に行くべきサイン
以下のいずれかに当てはまる場合は、夜間救急を含めて直ちに受診してください。
- 体重1kgあたり15g以上のネギ類を食べた(または量が分からない)
- オニオンパウダー・ガーリックパウダーを食べた(少量でも高濃度)
- 食べてから1〜5日以内に元気がなくなった
- 歯茎・舌が白い、または黄色い
- 尿の色が赤〜茶色に変わった
- 呼吸が荒い、ふらつく
様子見してよい場合
以下の条件をすべて満たす場合に限り、自宅で観察できます。
- 食べた量がごく少量で、体重1kgあたり5g未満と明確に分かっている
- 食べてから5日以上経過しても症状が出ていない
- 元気・食欲ともに正常
- 尿の色が正常(透明〜淡い黄色)
ただし少量でも繰り返し摂取すると体内に蓄積して中毒を起こすことがあるため、「1回の量が少なくても何度も食べていた」場合は受診してください。
自宅でできる応急処置
- 何をどれだけ食べたか確認する — 生の玉ねぎか、調理済みか、オニオンパウダーか。量の推定が重要です。
- 食べた時刻を記録する — 催吐処置は摂取後1〜2時間以内が有効です。
- すぐに動物病院に電話する — 食べた種類・量・体重を伝えてください。
- 自分で吐かせない — 自己流の催吐はリスクが大きいため、獣医師に任せてください。
- 追加摂取を防ぐ — テーブルの上の料理、ゴミ箱の生ゴミを犬が届かない場所に移動してください。
要注意の「隠れネギ」食品
- ハンバーグ、餃子、メンチカツ
- カレー、シチュー
- すき焼きの割り下・煮汁
- オニオンリング、フライドオニオン
- ベビーフード(玉ねぎ入りのものがある)
- 市販のスープ・ドレッシング
病院に行くときの準備
- 食べたものの特定(生のネギ?調理済み料理?パウダー?)
- 食べた推定量(玉ねぎ何グラム、料理何口分など)
- 食べた時刻
- 犬の体重
- 現在の症状(嘔吐の回数、尿の色、元気の度合い)
- 過去にもネギ類を食べたことがあるか
病院では催吐処置、活性炭投与、血液検査(赤血球数・ハインツ小体の確認)、点滴療法が行われます。重度の貧血の場合は輸血が必要になることもあります。早期発見・早期治療が予後を大きく左右します。
この記事の情報は一般的な参考情報です。個別の症状については必ず獣医師にご相談ください。