犬が震えている — 寒さ?痛み?病気?原因と受診の目安

犬が震えている — 寒さ?痛み?病気?原因と受診の目安

この記事は獣医師の監修を受けています

愛犬がブルブル震えている姿を見ると心配になるものです。犬の震え(振戦=しんせん)は、寒さや興奮といった生理的なものから、痛みや神経疾患といった病的なものまで原因が幅広く、見た目だけでは判断が難しい症状です。この記事では、犬が震える原因を整理し、「病院に行くべきか」「自宅で様子を見てよいか」の判断基準をまとめます。


犬が震える主な原因

生理的な震え(病気ではないもの)

1. 寒さ:
犬も寒ければ震えます。特にチワワ・イタリアングレーハウンド・ミニチュアピンシャーなど被毛が短く体が小さい犬種は寒さに弱く、室温が20℃以下で震えることがあります。

2. 恐怖・不安・ストレス:
雷・花火・動物病院・来客・車での移動など、犬が怖いと感じる状況で震えることがあります。体を低くする・尻尾を丸める・耳を伏せるなど、恐怖のボディランゲージを伴います。

3. 興奮・期待:
おやつを目の前にした時や散歩の準備中など、強い興奮や期待で体が震えることがあります。尻尾を振って目が輝いているなど、明らかにポジティブな状態なら心配ありません。

4. 加齢による筋力低下:
シニア犬(小型犬10歳〜、大型犬7歳〜)は筋肉量が減少し、特に後ろ足がプルプル震えることがあります。立ち上がりにくい・段差を嫌がるなどの変化を伴うことが多いです。

病的な震え(受診が必要なもの)

5. 痛み:
犬は痛みを言葉で訴えられないため、震えという形で表現することがあります。椎間板ヘルニア(背中や首の痛み)、膵炎(腹痛)、関節炎、骨折、歯の痛みなどが考えられます。特定の部位を触ると震えが強くなる・鳴く場合は痛みの可能性が高いです。

6. 中毒:
チョコレート・キシリトール・ブドウ・殺虫剤・人間の薬などを摂取すると、震え・嘔吐・下痢・痙攣などの症状が出ることがあります。「何か食べた可能性がある+震え」は中毒の緊急サインです。

7. 低血糖:
子犬やトイ種(チワワ・ヨーキー・ポメラニアンなど)は、食事間隔が空くと血糖値が急低下し、震え・ぐったり・痙攣を起こすことがあります。

8. 神経疾患:
てんかん・脳腫瘍・脳炎・小脳疾患などで、全身または一部の筋肉が不随意に震える(振戦)ことがあります。頭部が上下に揺れる「頭部振戦(ヘッドボブ)」は特定犬種(ブルドッグ・ボクサーなど)で見られる良性の場合もあります。

9. アジソン病(副腎皮質機能低下症):
副腎(ふくじん)から出るホルモンが不足する病気で、震え・嘔吐・下痢・食欲低下・体重減少といった漠然とした症状が出ます。若い〜中齢のメス犬に多い傾向があります。

10. 発熱:
正常体温(37.5〜39.0℃)を超える発熱時に震えが起こることがあります。感染症(パルボウイルス・犬ジステンパーなど)が原因の場合は命にかかわります。


今すぐ病院に行くべきサイン

以下が一つでも当てはまる場合は速やかに動物病院を受診してください

  • 震えに加えてぐったりしている・動こうとしない
  • 嘔吐や下痢を伴っている
  • 何か有害なものを食べた可能性がある
  • 歩行がおかしい(ふらつく・足を引きずる・立てない)
  • 背中を丸めて腹部を庇うような姿勢をとる
  • 子犬で長時間食事をしていない(低血糖の疑い)
  • 発作のように全身が硬直してガクガクしている
  • 震えが6時間以上止まらない
  • 発熱している(直腸温が39.5℃以上)

様子見してよい場合

以下のすべてに当てはまる場合は、自宅で経過観察が可能です。

  • 震えの原因が明確(寒い部屋・雷・興奮)
  • 原因を取り除いたら震えが止まった
  • 食欲・元気・排泄が普段通り
  • 歩行や姿勢に異常がない
  • 嘔吐・下痢・発熱がない
  • 特定の場所を痛がる様子がない

ただし、「寒さでもなく恐怖でもないのに頻繁に震える」場合は、数日以内の受診をおすすめします。


自宅でできるケアと対処法

寒さが原因の場合

  • 室温を22〜25℃に保つ
  • 犬用の服やブランケットを活用
  • 暖かい寝床を用意(床から離した場所がベスト)

恐怖・不安が原因の場合

  • 安心できる場所(クレートや静かな部屋)に誘導
  • 飼い主が落ち着いた態度で側にいる(過度に撫でたり声をかけすぎると逆効果のことも)
  • 雷や花火が事前に分かっていれば、サンダーシャツ(体を包む圧迫服)を試す

シニア犬の筋力低下の場合

  • 滑りにくい床マットを敷く
  • 段差にスロープを設置
  • 適度な散歩で筋力維持(無理のない範囲で)
  • 関節サプリメント(グルコサミン・コンドロイチン)を獣医師に相談

低血糖が疑われる場合(子犬・小型犬)

  • 応急処置として砂糖水やはちみつを歯茎に塗る:小さじ1杯程度のブドウ糖を少量の水に溶かして口の粘膜に塗布
  • 意識がない場合は無理に飲ませず、すぐに病院へ
  • 回復しても必ず受診して原因を確認する

病院に行くときの準備

  1. 震えの動画を撮影:全身か一部か、いつ始まったか、どんな状況で起こるかが分かる動画
  2. 震えの頻度と時間帯をメモ:朝だけ・夜だけ・食後・運動後など、パターンがあるか
  3. 中毒の可能性を確認:食べた可能性のあるものがあれば実物やパッケージを持参
  4. 最近の環境変化:引っ越し・新しいペット・食事の変更・ワクチン接種歴など
  5. 既往歴と服薬状況:持病や服用中の薬があればメモ

病院では身体検査・神経学的検査・血液検査を基本とし、必要に応じてレントゲン・エコー・MRIを追加します。


この記事の情報は一般的な参考情報です。個別の症状については必ず獣医師にご相談ください。

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この記事は一般的な獣医学知識に基づく情報提供を目的としており、獣医師の診察に代わるものではありません。 個々の状態は異なるため、少しでも不安がある場合は動物病院を受診してください。